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平和の棚の会 ~争いと差別のない暮らしへ~

2008年12月に20社の出版社で設立した「平和の棚の会」のブログです

読者の皆様へ 「平和の棚の会」からのご挨拶

 20の出版社が集まって「平和の棚の会」を設立したのは2008年です。その1年前に、東京・新宿のジュンク堂書店(当時)に画期的な棚が生まれていました。「反戦平和棚」です。こういう本の並べ方があるのかと出版社仲間で話題になり、約1年の検討・研究期間を経て、この会が発足しました。
 私たちが選書の基準にしているのは「積極的平和」という概念です。戦争がなければそれだけで平和なのか——という根源的な問いがその根底にあります。ノルウェーの国際政治学者ヨハン・ガルトゥングが提唱し、いまやノーベル平和賞や「気候変動に関する政府間パネルIPCC)」にも反映されている考え方です。それは、武器輸出を緩和し、平和憲法の「改正」を目指す安倍晋三首相が唱える、軍事的行動を含む「積極的平和主義」とは、まったく異なります。
 しかし、2016年3月には安全保障関連法が施行され、集団的自衛権の行使が可能となりました。戦争や紛争によって平和が脅かされる事態がますます近づいています。同時に、子どもの6人に1人が貧困状態にあることに象徴されるように、新自由主義的政策のもとで、ますます格差が広がってきました。「先進国」と言われる日本で、健康で文化的な最低限度の生活すら保障されない状態です。
 一方で、放送による表現の自由を謳った放送法に著しく反する所管大臣の「電波停止」への言及は、決して容認できません。書店が独自の選書で行うフェアに、インターネット上で圧力をかけて中止に追い込むような行為も同様です。私たちは書店員の方々の意欲ある選書活動をサポートしていこうと改めて決意しました。
 戦争・紛争のない世界であってほしいと誰でも切望します。戦争・紛争の原因や結果の研究・分析は重要で、私たちの出版活動の大きなテーマです。同時に、福祉が行き届かなかったり、ジェンダーや労働条件で差別されて苦しむ人が、たくさんいます。彼ら・彼女らの平和も日常的に脅かされているし、家庭内暴力も素性のわからない食べ物も、もちろん原発も、平和を脅かす大きな要素にほかなりません。
 こうした広範なテーマにわたる本をまとめて提示してみようというのが、私たちの基本的な考え方です。現在の会員社18社の出版物だけで、すべてをカバーはできません。とはいえ、著者たちの「考え方」を具体的な本の形にして並べることで、本来の積極的平和の全体像が見えてくるのではないでしょうか。
 本は隣にどんな本があるかで表情が変わります。たとえば、社会問題の隣に文学書がある棚を想像してみてください。そこから未知の本への新たな興味が生まれる可能性があります。リアル書店であれば、目的の棚に行くまでに左右の書棚を見たり周辺の本を見ることが可能です。書店の棚には、人間の思考が本という装いをまとって並んでいます。ジャンルを超えた多様な本が並ぶことで読者の視界が広がり、新しい思考に出会える機会が生まれるはずです。
 私たち会員社は、これからも全国の書店のご協力を得て「平和の棚」を広げていこうと考えています。